藤本善右衛門縄葛の『続錦雑誌』

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類まれな蚕種製造家の一人、藤本善右衛門縄葛(つなね)(1815~1890)は、明治10年頃に隠居してから亡くなるまでの十数年間にわたり、『続錦雑誌』(しょくきんざっし)(全89冊)を記し残しています。

『続錦雑誌』隠居時代の教養ある学びの綴りと言ってもいい。現在で言う生涯学習です。さらに今風に言うなら「学習ポートフォリオ」です。知的関心が多方面に及び、その内容は博物学的に多様です。その多くは何らかの書から書き写したもののように見えます。絵の表現力にも感心します。当時の蚕種製造家は蚕種製造技術にたけているだけでなく、豊かな教養も身に付けていることが求められていました。杉仁氏の研究書『近世の地域と村落文化』(2001年)では、上塩尻村の蚕種製造家たちと村落文化についての言及がされています。豊かな教養が蚕種製造販売の信頼につながり、同時に福島から関東、岐阜に至る取引先と俳諧の文化的交流のネットワークが作られていたことも記されています。

『続錦雑誌』を一通り一瞥してみて、改めて注目されるのは3冊に渡る桑の葉の拓本です。桑の葉の種類を網羅した「桑の葉図鑑」と言ってもいい。この徹底ぶりには驚くばかりです。

登録日:2020-07-18 投稿者:ミッチー
地区コード上田地域(上田市)
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