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養蚕農家の生活3 養蚕の準備

養蚕農家の生活3 養蚕の準備

 養蚕は暖かい時期に蚕を飼うことばかりでなく、その用意は冬のうちから始まりました。3月、寒いながら日も長くなりだすと父は蚕(こ)巣(す)(こす:蚕が繭を作るときにワラで編んだ巣に入れる)折りを始めました。昨年の秋の終りに田んぼのワラは全部家の裏に積み上げてあり、これを崩してワラすぐりをした一つかみのワラを簡単な箱型の器具にのせて、二本の鉄棒とばねの力で作ります。1個を作る所要時間は2分ぐらい、一時間に30個、1日に100個も作ればもうたくさんになってしまっただろうと思います。
 蚕巣1個が蚕(さん)箔(ぱく)(さんぱく:1畳ほどの竹籠に敷く紙。その上で蚕を飼う)1枚用で、我が家では春蚕に350個、夏蚕に450個、残りを秋蚕、晩秋用にするので1000個の蚕巣が必要で、この蚕巣を折る作業は10日間を要したと思います。私は、学校から帰るとワラ束を崩してワラすぐり(わらをきれいして整える)をし、大束にして父が蚕巣折りをしている小屋に運び込んだものでした。
「養蚕業について」西沢吉次郎著より

 写真は、塩尻小学校郷土資料館所蔵の蚕巣。竹籠1枚に蚕巣1個が必要。

登録日:2021-11-15 投稿者:やまさん
地区コード上田市
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    カテゴリ名養蚕農家の生活
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