養蚕農家の生活4 桑の手入れ
4月は春祭りの時期です。桑は昨年の夏蚕用に切られ、15センチほど切り残された桑棒に、切られた後に発芽した細枝をつけてボサボサになっている。この棒を株すれすれに鎌で切除する作業を株直しといいますが、お祭りの前にこの作業を済ませることが我が家の例年の習いでした。越年した桑株はかたくて鎌でそぐのは子供の力では大変でした。鎌はよく切れることが大事で、それにはちょいちょい砥(と)ぐことでした。その砥ぎ方も父から習ったのです。600坪からある桑畑の株直しは我が家にとっては大変な作業で、父母が専門にやるばかりでなく、私たち子供もお祭り前に終わらそうとがんばりました。手の中は血豆がいくつもでき、指の付け根にタコができました。
桑の芽が出る前に全桑園に春肥をやります。それには大豆かすやアンモニア、カリンサン等というのを株の間に穴を掘ってくれました。養分豊富な桑を育てることは、丈夫な蚕、上等な繭の豊作につながるので、どこの家でも桑畑に資本(お金)をかけたのです。
桑の葉が出ないうちに病気の株を抜いて新しい苗を補植し、旧品種の桑を掘り除き、新種に植替える等もみな4月の間の仕事でした。
「養蚕業について」西沢吉次郎著より
写真は、株直しをした桑。上田市誌「蚕都上田の栄光」より
ハッシュタグ (キーワード) | |
---|
ライセンス | 表示(BY) |
---|
投稿者 | やまさん |
---|