養蚕農家の生活11 夏蚕、秋蚕、晩秋蚕
繭かきの済んだ後の蚕巣ワラは燃やしてしまいました。
このころは田の「しつけ」も繭と並行で、田植えはほとんど他人まかせで、家中でやったことはなかったのです。
7月中旬にはまた夏蚕が始まるのです。夏蚕は子供たちの夏休みと重なり、暑くて飼育が容易なので、我が家では重点をここに置くのです。
庭起きともなると桑は1キロも道のりのある小玉の丘陵まで切りに行くのです。父母姉2人兄2人に私の7人の1ケ分隊が、みな背負子をしょって水上の田の細いあぜ道、しかも高い石垣の細いあぜ道を一列になって行くのです。この行列は私たちだけではありません。
ほとんどの家がこの丘上に桑畑を持っているのです。細道を進んでいくと早い家ではもう桑をしょってこの道を帰ってくるのです。そこで道をよけて通してやるのが大変でした。へたをすると桑をしょったまま高い石垣から下の田へ落ちないとも限らないからです。この道を過ぎると山道にかかります。ここがまた嫌な坂道で石がころがっていたり、雨降るとすべるのです。
桑畑につくと自分がしょって帰る桑は自分で切ることになっています。父と兄たちは三
ば、母・姉・私は二わと決まっていました。ぐずぐずしていると桑が萎(しな)びるので自分のができればてんでにさっさと帰ってしまうのです。家に帰って庭で荷を下ろした時は天にも昇る心地でした。桑切りは夕方また一回しました。
「養蚕業について」西沢吉次郎著より
写真は、塩尻岩鼻の崖の上にある桑畑の跡
ハッシュタグ (キーワード) | |
---|
ライセンス | 表示(BY) |
---|
投稿者 | やまさん |
---|