上田紬

上田紬

長野県の上田市、飯田市、松本市、岡山市、駒ケ根市周辺などで生産されている絹織物の総称を「信州紬」という。
信州紬の種類として上田紬、飯田紬、伊那紬、松本紬の四種類ある。上田市の上田紬とは江戸時代に信州紬の中で最も有名だった紬の着物である。昔は愛染系の縞柄が基調の着物だったため、「上田縞」とも呼ばれていた。特徴として縞と格子柄で丈夫でしなやかな風合いである。
この上田紬の織りを体験できる場所として「織りの休日俱楽部」がある。そこではストールが作れる。一ヵ月に一回と開催日が少なく、参加費も一万二千円と高めではある。
このような体験は上田市に限らず、他の地域でも行われていることが分かった。
上田紬についてもう少し詳しく調べてみた。
生糸に適さない屑繭を真綿にし、 真綿からつむいだ紬糸で織られたものが紬織物である。 古くから養蚕業が盛んだった上田では、農家の自家用として紬が織られるようになったという。 上田紬が有名になりはじめたのは 、蚕種( 蚕の卵 )の製造が開始された1660年頃といわれる。 蚕種の副産物である出殻繭は、良質な紬糸の原料だった。
江戸時代には庶民統制令による衣服の規制が厳しく、庶民が絹織物を身につけることはできなかった。 だが紬は、絹であっても生糸ではないと容認され、庶民にとって最高級の織物として人気を博した。
井原西鶴の『日本永代蔵』に上田紬に関する記述があり、また喜多川歌麿の美人画に上田縞の反物が描かれていることからも、 その知名度の高さがうかがえる。 文化文政年間に取扱高は相当量にのぼり、上田紬は隆盛を極めた。
手ざわりがよく、軽く丈夫で、吸放湿性の高い絹が人にやさしい繊維であり、絹は透湿性に優れているので保温性があり、夏は涼しく、冬はやわらかな温かさが感じられる。寒い季節、絹が肌にふれた瞬間はひんやりするが、すぐに温かくなるのは、熱伝導率の低さによるものである。寒い季節、絹が肌にふれた瞬間はひんやりするが、すぐに温かくなるのは、熱伝導率の低さによるもの。 高い機能性と美しさを兼ね備えているからこそ、絹は繊維の女王と讃えられている。
上田紬は、各工程に専門職をおく分業体制をとらない。仕入れた糸の染色にはじまり、洋服のデザインにあたる生地の設計、織りまで、ほとんどの工程を一人で行う。これは他の地域では見られない珍しいものだと思う。
上田紬の歴史は300年を超えるがどのように変化してきたのか。
上田紬は過去の前例ややり方をそのまま受け継いで進めたものではない。古き良きものを守ると同時に、新しいもの、この時代だからこそ必要なものを生み出すことが伝統を継承するには欠かせない。時代に受け入れられるための創意工夫は上田紬が得意としている。例として、着物、ストール、シュシュ、トートバッグ、シャツなどの製品がある。このような伝統をその時代だから必要なものに形を変えていくということが伝統継承には必要だと私は思う。
私の地域では「明石ちぢみ」という着物があるが、シュシュやトートバックなどの形はない。高校生の時に探求学習で着物について調べ、地域の観光協会に話を聞きに行ったことがある。その時に「着物という形だけでなく着物の生地で小物が作れないか」と聞いたことがある。担当者は「そのように新しい形に変えていくことがベストだとは思うが職人さんたちがいい顔をしないことが問題だ」と言っていた。私は「新しい形での着物は難しいのか」とその時は諦めたが、上田紬を調べていく中で「古きよきものを守ると同時に新しいものを生み出す」という考え方があることを知り、やはり新しい形にしていくことは伝統継承に置いて必要だと改めて感じた。

登録日:2024-01-23 投稿者:ゆづき
ハッシュタグ
(キーワード)
    ライセンスこのライセンスは原作についてあなたに対するクレジットの表示を行う限り、あなたの作品をリミックスし、改変し、あなたの作品を使って新しい作品を作ることを許すものです。これはもっとも懐の広いライセンスです。ライセンスされた資料の流通・利用の最大化のためにお勧めしています。 表示(BY)
    投稿者ゆづき
    管理番号1
    カテゴリ名商品・工芸品
    トップにもどる
    地図で見る
    情報を探す
    キーワード
      同じキーワードを持つ記事