研究発表「D.W.Griffithと小津安二郎のインターテクスト的連関」
(2020/09/27 日本映像学会第46回大会 研究発表/研究A2)
【研究概要】
D. W. Griffith(1875-1948)の初期作品には、小津安二郎(1903-1963)のそれと極めてよく似たシステムが同定できる。小津がアメリカ映画、とりわけ Ernst Lubitsch の強い影響を受けていたことはよく指摘されている。しかしながら小津に最も類似した特徴を備えているのは Griffith の初期作品である。この点、先行研究では指摘されることがなかった。本研究ではGriffith作品、小津作品における人物の動きに沿った移動空間の分節、動きの分節が極めて共通性が高いことを実証した。
こうした特徴を備えた作品は映画初期において見られるものの、トーキー期においては類例を見出せない。特に小津のトーキー期における《動きの連続=時間の分節》には、映画初期の原初的技法と捉えられる厳格なまでの組織化が見られる。これは小津の形式システムにおける映画初期モード、とりわけ Griffith と類似したモードのインターテキスト的連関と捉えられるものである。
地区コード | その他 |
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管理番号 | 3266 |
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カテゴリ名 | 講座等記録 |
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