『魔弾』は小津ごっこの傑作

『魔弾』は小津ごっこの傑作

小津安二郎の映画を真似っこすることを「小津ごっこ」と言います。周防正行監督や山田洋次監督などが自作の映画で小津ごっこをやっています。テレビのCMでもそれらしきものを見ることがあります。

T.M.Revolutionの『魔弾』がリリースされたのは2012年のこと。このPVは当時飛行機の中で見た記憶があります。これも強烈に印象に残ったPV。

YouTube動画のリンクは実体コピーとは異なるので、ここに嵌め込まれてはいますが、コピーではなく外部参照です。

YouTube/T.M.Revolution 『魔弾~Der Freischutz~』を外部参照

出来過ぎのパロディPV。まずタイトルが『魔弾~Der Freischutz~』。わざわざドイツ語の原題まで示すバカ丁寧さ。ウェーバーのオペラ『魔弾の射手』です。明らかに『魔弾の射手』からのいただき。

さらに輪をかけて意表を突かれるのが小津映画のパロディにした趣向。『秋刀魚の秋』(1962)をクレジットタイトルからパクっています。タイトルバックがもろ『秋刀魚の秋』。最初の風景のロングショット。小津調で「うーん小津」とうなります。この家にお客さんで来訪したとわかる西川君がちゃぶ台の前に座り正面から撮影。「うーん小津」。まるで小津の映画のように人物の切り出し方、室内の取り方などそっくりに真似、細かいことまで指摘すると、ショットのつなぎがアクションの途中で切り替え連続させるアクションカットによるつなぎ。小津の演出を心憎いほどによくわかっていらっしゃる。お遊び心満載です。バーのシーンまで模倣してくるあたりはさすが。しかも俳優たちが『魔弾』を口ずさんで歌っているではありませんか。並み外れ過ぎです。クライマックスでは父と西川君が魔弾を打ち放つ凄まじさ。娘を西川君にとられる父親の心情がトリガーとなり魔弾の行動へとエスカレートする。絶句するぐらいに素晴らしい。小津ごっこの傑作です。

登録日:2022-10-18 投稿者:ミッチー
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