BFI:世界映画史上、最も偉大な映画2022

BFI:世界映画史上、最も偉大な映画2022

▲BFIホームページからの部分転載

英国のBFI(British Film Institute)が発行する映画専門誌『Sight and Sound』が10年に一度選定する「世界映画史上、最も偉大な映画」(The Greatest Films of All Time)の2022年の選定結果が発表されました。

▼The Greatest Films of All Time
https://www.bfi.org.uk/sight-and-sound/greatest-films-all-time

シャンタル・アッケルマン監督の『ジャンヌ・ディエルマン』(1975)が第1位に。これは驚異的なチョイスです。世界映画史上、そこまでの高い知名度も評価も得ていなかったアッケルマンが、しかもその一作品が選ばれたことが驚異です。映画監督は圧倒的に男性優位で女性監督はごく少数です(旧来「女流」監督と呼んできたのは男性中心の捉え方から発生した偏見的な呼び方か?)。多様性とLGBTが全世界的に認識されてきた現代の思潮に後押しされたものと推察をします。このような評価の多様性が投票結果に現れることも社会の価値観を刷新する力となります。そのような意義を第一に感じました。

さて「世界映画史上、最も偉大な映画」で私が関心を寄せているのが小津安二郎監督の『東京物語』(1953)。前回10年前の2012年の選定では批評家等による選定で4位、映画監督による選定で何と1位に選ばれました。恐ろしいほど高い評価に対して正直なところ実感が伴いませんでした。今回は批評家等、映画監督ともに第4位の評価でした。『東京物語』の国際的な、時代を超えた評価がはっきりと定まってきたものと受け止めました。

この選定が1952年に始まって以来、いわゆる芸術的作品が不動の位置を占めていた『市民ケーン』『ゲームの規則』などから、いわゆる娯楽的映画を評価する作家主義の傾向が強くなった1982年からは『雨に唄えば』『めまい』などが急浮上してきました。小津に対する評価の高さはその頃から世界に広がり、『東京物語』の評価の高さにそれが現れています。歴史的な評価、作品の評価は時代とともに変遷しつつ、そのトレンドを超えたところにより普遍的な評価が現れると捉えることができます。その点ではアッケルマンに対する評価の急上昇、高評価が定着してきた『東京物語』への評価が端的にその傾向を象徴しています。

登録日:2022-12-12 投稿者:ミッチー
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